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設計業務の内製化 そのメリットとデメリット

2021/10/11

設計業務、3つのスタイル

設計業務は、様々な工程からなる作業であり、かつ正確性も求められます。住宅の品質や性能に関わる、ハウスビルダー様の事業の中でも最も重要な位置づけを占める業務と言えるでしょう。

今、この設計業務に関して悩みを抱えているハウスビルダー様が増えています。
その理由は、省エネをはじめとする法や制度の改正などから、以前に比べ作業が煩雑化しているからで、事業拡大を難しくする要因になっているという声もよく聞かれます。

さて、現在、ハウスビルダー様の設計業務は大きく3つのスタイルによって行われているのが一般的です。

  • 内製=自社スタッフのみでほとんど全ての作業を実施

  • 外注=作業の一部を社外の設計事務所に委託

  • 海外にCADセンターを設置=図面トレース作業に特化し実施

もちろん、これらを織り交ぜて運用しているケースもありますが、本記事ではそれぞれのメリット・デメリットを改めて確認することで、現在の設計業務の見直しにお役立ていただければと考えます。

今回はまず「内製」についてです。​

業務の品質管理、柔軟な作業対応に利点

内製による設計業務のメリットは、第一に業務の品質管理がしやすいこと。

特に、社内共通の作図ソフトを導入している場合、統一ルールで入力が行われるため、スムーズな運用が可能になります。
スタッフ間の共通理解やコミュニケーションを多くとれることから、仮に設計・入力ミスや変更がある場合でも、小回り良くタイムリーに修正することが可能になり、業務品質を一定のレベルに保つことができます。

また、業務が多い繁忙期やイレギュラーな対応が必要なケースでは、外注業者には無理が言いづらいものですが、社内スタッフなら残業などで多少の融通も利きます。

社内で一貫して業務を行うことで、品質管理などのノウハウが生まれ、それを社内で共有化でき、さらに柔軟な対応も可能、これらが内製のメリットと言うことができるでしょう。

コスト・人員確保が課題

一方で、内製にはデメリットもあります。

何より大きいのが固定費をはじめとするコストの増大。設計スタッフを社内で抱えておくための人件費以外に、CADソフトの導入費用も固定費となり、繁忙期・閑散期に関わらず運用コストが生じる要因となります。
固定費は企業経営を圧迫する大きな要因となりますので、できるだけ少なくすることが求められますが、内製による業務体制では限界が生じるのです。

また、新規スタッフの採用・教育にも相当のコストと時間が必要です。
そもそも現状では、設計スタッフの採用は「売り手市場」で、採用する側にとって状況は年々厳しくなっています。仮に新卒で採用するにしろ、戦力化するまでには大変な我慢が求められます。
さらに、せっかく戦力化した優秀なスタッフを定着させることも難しくなっています。この場合、代替の人員を確保することが難しく、業務に大きな悪影響を及ぼしかねません。
「売り手市場」の状況下で内製を維持するためには、設計スタッフに魅力的な条件を提示し続けることも求められることになります。

固定費の増大と人員確保の難しさ、という二点から内製では業務を拡大することが大変難しい状況になりがちです。
設計業務の量を増やせないことは、イコールで供給できる住宅の数に限りができる、つまりハウスビルダー様の事業拡大の足かせになるわけです。

ここまで内製のメリット・デメリットを見てきました。
この業務スタイルはマンパワー頼りで成り立つものであること、メリットとデメリットが表裏一体であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

内製にこだわり続ける理由とは?

ところで、内製を採用されているハウスビルダー様が、外注や海外CADセンターなどよる設計業務の負担軽減に踏み切れない理由の1つに、設計業務に携わるスタッフが手持ちぶさたになることへの懸念があるようです。

設計業務には大きくプランニング、作図、法令チェックがあります。
このほか、分譲住宅中心のハウスビルダー様なら社内での打ち合わせや商品開発、注文住宅が中心なら顧客との打ち合わせ、設計変更の作業なども加わります。

こうした一連の業務の一部、CADでの作図業務のみを外注、あるいは海外CADセンターにシフトすることで、設計スタッフの本来重視すべき業務、プランニングや顧客との打ち合わせの時間が増え、提案内容が充実し顧客満足度の向上に成功。
あるいは、より良い商品開発ができ付加価値が高まった結果、受注・販売棟数が増加し、業績がアップした、という話をお聞きすることがあります。

中には、お客様(注文、分譲に対応できるようにするため)の満足度が直接伝わることで設計スタッフの業務に対する充実感が高まり、離職率の低下につながったという、さらなる好循環があったという声も聞かれます。
設計業務の一部外注化などには、スタッフを手持ちぶさたにすることなく、業績の拡大や経営の安定に効果をもたらすケースもあるようです。

そのほかにも、設計業務の一部を外注することで、建築法規への適合といった品質チェックを行う組織を作る、作図ルールの改善活動を行う、など本来必要だと分かっていながら後回しになっている設計業務の改善にスタッフの工数を割くこともできるようになるでしょう。

設計の内製に課題を感じられているハウスビルダー様には、一度立ち止まって現在の体制を振返り、「作業は外部へ」「付加価値を生む業務は内製で」と割り切り、様々な改善活動ができる状態を作り出すことが、いま求められているのかもしれません。

ただし、内製の一部を外注化すれば万事解決かというと、必ずしもそうとは言えないようです。
では、設計業務の外注にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
次回の記事で具体的にご紹介します。