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「海外CADセンター」設置のメリット・デメリット

2021/11/05

ある一定規模の事業を展開する住宅事業者が、さらに事業の拡大を図るために、設計業務のテコ入れ策として取り入れてきた手法の1つが、海外への「CADセンター」設置です。

CADセンター設置は供給棟数の拡大を目指すにあたって、検討すべき手法の1つとも言えるでしょう。今回はそのメリットとデメリットについて考えていきます。

海外CADセンター設置のメリット・デメリット

メリット

  • 日本より低い賃金
  • スタッフを大量に集めやすい
  • 早期事業拡大に役立つ

デメリット​

  • 採用や教育など立ち上げが大変
  • 国内スタッフの業務分担が必要

コストを抑制しながら大量の人材を確保できる​​

海外へのCADセンター設置先は、その多くがフィリピンや、ミャンマー、ベトナムなど東南アジア各国となっています。
その理由は、現地スタッフに支払う賃金が国内のスタッフに比べて低く抑えられるため。
賃金を各国の平均より高額に設定することで、スタッフを早急、かつ大量に集めることもできます。報酬額を高めても採用がうまくいかない日本とは異なり、比較的容易に人員の確保が可能です。

また、一般的に海外のCADセンターでの設計業務は、マニュアルに基づくデータ入力作業に限定されるため、比較的安定的な業務品質を見込めます。
コスト(人件費)をある程度抑制しながらセンターを立ち上げることができ、柔軟な人員確保によって事業を早期に成長させることができるということが、この手法を採用する上でのメリットと言えます。

一方で、デメリットも当然存在します。第一に土台となるCADセンターの立ち上げ作業が非常に大変なこと。現地に法人を設立することになるわけですが、関連する法律や制度などは日本とは異なります。
スタッフを採用するにも、現地の信頼できる人材募集会社などパートナー企業を見つけることが大切になります。そして、法人立ち上げや採用した人材を教育する専属のスタッフも派遣、常駐させなければなりません
また、入力のルールなどを一から教育する必要がありますが、建築などの専門教育を受けていない人材がほとんどの為、日本での人材育成のようにスムーズにはいかない場合も多くあります。

スタッフに対して十分な教育ができ彼らが仕事に慣れたとしても、海外では人材の流動性が日本より高く、そのため常に人の入れ替えに対応しなければならなくなるといったリスクもあり、安定した業務品質の確保が難しいケースも見られます。

ある程度、CADセンターの運営が円滑に進むようになった際、単純な入力作業以上のプラスアルファを求めようとした場合、前述したように、専門知識を持つスタッフではないため、スキルアップの壁となります。

自社で設置・運営を行うのは大変

以上のようなハードルをうまく越えられなかった場合、海外のCADセンターのデータ入力ミスが多発し、日本のスタッフが入力データのチェックに追われることになり、主要業務に弊害が起きる場合もあります。

法人の設立と運営、人材の採用・育成・離職の防止、CADの操作方法にはじまるマニュアル化といった一連の作業を自社単独でまかなうのは大変なこと。しかし、これは国や地域によって人々の習慣や仕事に関する考え方が異なることから、避けて通れるものではありません。

また、例えば中国では人件費が日本と同程度のレベルとなっているなど、必ずしもコスト抑制効果が期待できなくなっています。人件費が低い国や地域を選択することもできなくはないですが、政情やインフラ面などのカントリーリスクが高まります。

ところで、海外CADセンターの設置は一般的には既にご紹介した「内製」による手法の1つで、この他に「外注」先としての海外CADセンターも存在します。

外注のメリット・デメリット(※国内で設計業務を外注した場合)

メリット

  • 人件費を中心とする固定費の削減
  • 社内スタッフに業務上のゆとりを生み出す
  • その結果、本来重視すべき業務に集中しやすくなる

デメリット​

  • 業務品質の管理が難しい
  • 業務品質の安定化に難がある

参考記事「設計業務を外注するメリット・デメリット」について​​