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避けることはできない「省エネ住宅」普及への取り組み

2021/12/09

住宅の省エネ化に関する機運はかつてないほど高まっており、その対応が避けられないものになりつつあります。
対応の正否がハウスビルダー様の経営の行方を大きく左右することは間違いないと考えられます。

そこで、この記事では省エネ化が急務となっている要因や、省エネ化を巡る経緯、これからハウスビルダー様が採るべき方向性についてまとめてみました。

時代はカーボンニュートラルへ

地球温暖化対策が世界的に重要な課題になる中、我が国においては2020年10月の臨時国会で菅義偉首相(当時)によって、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル宣言」が行われました。
これが住宅の省エネ化に関する機運が高まったきっかけです。

宣言の実現へ向けた「地球温暖化対策計画」(今年令和3年10月22日に閣議決定)の原案によると、CO2の削減と共に以下のような削除目標値も示されています。

  • 産業部門(建設業を含む)=2億9000万t(2013年度比37%減)
  • その他部門(オフィスなど)=1億2000万t(同50%減)
  • 家庭部門=7000万t(同66%減) など

家庭部門のエネルギー消費は全体の約3割を占め、増加傾向にもあるため、住宅は更なる省エネ化を目指すべく「家庭部門」のCO2削減率が最も大きくなっていることが分かります。

CO2削減のため、石炭を初めとする化石燃料依存から太陽発電等の再生可能エネルギーへの転換が急務で、住宅への太陽光発電設備の更なる普及のため、政府としては2030年までに新築戸建住宅の約6割に設置を目指す目標を掲げています。

また、この目標値を達成するため、「太陽光発電設置の義務化」といったこれまでより一歩踏み込んだ議論に発展しています。

ここで、日本における住宅の省エネ化の取り組みについて振り返ってみましょう。
1980年(昭和55年)に省エネ基準が設けられたのを皮切りに、以降は1992年、1999年、2013年、2015年と段階的に改正・強化されてきました。

消費者にも分かりやすい「省エネ住宅」普及への動き

特に1999年以降は自動車でいう「燃費」のような、住宅にどれくらい省エネ性能があるのかという具体的な指標「省エネ基準」を設ける施策も行われてきました。

2015年から施行されている現行の省エネ基準では、建物の断熱性能に加えエアコンや給湯器、照明などの設備機器が消費するエネルギーも含めた、建物全体の「一次エネルギー消費量」で省エネ性能を評価する仕組みとなっています。

その他、2017年からは事業者に供給する住宅の省エネ性能向上を促す措置「住宅トップランナー制度」、2021年4月から建築主から施主への「省エネ基準への適否」の説明義務も設けられました。

同制度では注文戸建て、分譲戸建て、賃貸住宅で一定規模を供給する事業者に、現行省エネ基準の断熱性能と一次消費エネルギーについては現行省エネ基準の10~25%(種類により異なる)を削減すること、国土交通省への達成率の報告義務も定められています。

「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の普及も進みつつあります。
これは、高断熱な建物とLEDなどの省エネ設備、太陽光発電を中心とする創エネ設備を組み合わせて年間の一次エネルギー消費量を概ねゼロにできるものです。
住宅の断熱性能をより高めて、冷暖房や給湯、照明、換気などで使用される一次エネルギー消費量を削減し、使用するエネルギーを太陽光発電等で補い、エネルギーの消費をプラスマイナスゼロにする住宅です。

国は「2030年までに新築住宅(建売住宅、集合住宅を含む)の平均でZEHを実現する」という考えを持っていますが、これについても燃費のようなわかりやすさ、消費者が「環境に優しい省エネ住宅」とはどんなものなのかを理解しやすくする狙いがあります。

以上のようなことから、今後ZEHを中心とした省エネ住宅の供給が当たり前になっていくと考えられます。
顧客はより一層、情報収集の段階で省エネ性能の比較をすることが可能となり、省エネ性能が低い住宅は選択肢として入らなくなるでしょう。

国の制度とは別に「分かりやすい省エネ住宅」を供給することも求められそうです。
そのためには消費者のライフスタイルを詳細に把握し、それぞれに適した快適性・温度差・光熱費・活動空間などといったライフスタイルに直結する提案を行う努力が今以上に必要になるでしょう。少なくともイニシャルコストやランニングコストを強調するだけでは、消費者に選ばれなくなる可能性が高まるはずです。

そうした意味では、ハウスビルダー様の有する設計力の善し悪しが強く問われる時代が到来しつつあるとも言えるのではないでしょうか。

世界的な価値観の変化も省エネ化を後押し

ところで、近年は「SDGs」、「ESG」という言葉をよく耳にするようになりました。

SDGsは、国連が採択した「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、17の目標、169の達成基準、232の指標で構成され、地球温暖化防止の必要性などが盛り込まれています。
ESGは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の略語で経営指標です。

SDGsとESGはこれまで欧米で企業などの活動を評価する物差しとして普及してきましたが、近年は日本でも導入が広がりつつあります。

ESGでいうと、これに反した活動をする企業には、例えば金融機関からの融資を受けにくくなり事業継続が難しくなる、といった影響が出てくることも考えられます。
つまり、地球環境の持続可能性への取り組みが、ハウスビルダー様の経営の行方を左右するような時代が訪れつつあるわけです。

世界では大きな価値観の変革が行われており、それはハウスビルダー様にとって無縁ではなくなり始めているということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

以上のことから、住宅の省エネ化の潮流は止まることはないと考えられます。
事業の持続可能性を高めるためにも、ハウスビルダー様が供給する住宅について省エネ強化の取り組みは避けて通れない状況になっています。